EU、米のイラン制裁再開でブロッキング規則発動

2018年8月20日発行 No.211号

EUは7日、米国が核合意離脱に伴う措置としてイランへの経済制裁を一部復活させたことを受け、イランと取引がある欧州企業を保護するための対抗策を発動した。「ブロッキング規則」と呼ばれる措置で、域内の企業が米国の制裁に従うことを原則として禁止することなどが柱。ただ、既に複数の有力企業がイランからの撤退や取引縮小を表明したり、示唆しており、対抗措置の実効性を疑問視する声も出ている。

米国が7日に再開した対イラン制裁は自動車や鉄鋼などの取引を禁じる内容で、11月には原油を標的とした制裁も復活させる方針。米国の制裁はイランと取引がある第三国の企業も制裁の対象となる仕組みだが、イランは核合意にとどまる条件として、米国による制裁再開後もイランへの投資を継続する旨を保証するようEU側に求めており、EUとしては欧州企業が制裁を恐れてイランから撤退する事態を防ぐ必要がある。ブロッキング規則はこうした事態に備え、EUが1996年に米国の対キューバ制裁への対抗策として制定したものだが、これまで発動されたことはない。

ブロッキング規則は欧州委員会が承認した例外的なケースを除き、域内の企業や個人が第三国の制裁に従うことを禁じ、域外の司法機関による制裁金支払いなどの命令は無効とみなす。さらに制裁によって損害が生じた場合、域内の企業は相手側に損害賠償を請求できる。

モゲリーニ外交安全保障上級代表と英仏独3カ国の外相は6日、共同声明を発表。米国による制裁再開に「深い遺憾」を表明し、ブロッキング規則を発動して「イランと正当な取引をしている欧州企業を守る」と強調した。ただ、仏石油メジャーのトタルは5月の段階で、イランの天然ガス開発プロジェクトから撤退する方針を表明しているほか、仏自動車大手PSAグループも同国での合弁事業から撤退する手続きに着手するなど、有力企業の間で既にイラン離れが表面化している。

▲このページのトップへ