EU離脱に伴う移転で30%退職、欧州医薬品庁が予測

欧州医薬品庁(EMA)は1日、英国のEU離脱に伴う本部移転に絡んだ事業継続計画(BCP)を発表した。全職員の約30%が移転先のアムステルダムに異動せずに退職するとの見通しを示したうえで、短中期的に一部業務を縮小し、医薬品審査に関連した中核業務に人材を充てると説明している。2019年3月末までの移転に向け、10月1日までにBCPを実行に移す。

EMAは1995年からロンドンに本部を置き(2004年までの名称は欧州医薬品審査庁=EMEA)、およそ900人の職員を擁する。同機関をめぐっては、イタリアのミラノやチェコのプラハなど域内19都市が移転先に名乗りを上げ、英国を除くEU加盟国が昨年11月、アムステルダムを選定した。

EMAは職員を対象に実施したアンケートに基づき、当初は全職員の19%がアムステルダムへの異動を拒否し、退職すると予測していた。しかし、オランダの法律ではEMAと短期雇用契約を結んでいる135人が同国で働くことはできないため、最終的におよそ30%の職員が本部移転に伴い退職すると分析している。

EMAはそのうえで、職員の減少に伴い、国際的な共同研究や臨床データの公開など、一部の業務を一時的に縮小せざるを得ないと主張。「短中期的には新薬の承認や医薬品の安全性の監督といった中核業務に注力することになる」と説明している。

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