資金洗浄対策でEU共通の監督機関設置、ECB専務理事が提言

欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は7日、域内全体でマネーロンダリング(資金洗浄)対策を強化するため、金融システムへの不正資金の流入を監視するEU共通の監督機関を新たに設けるべきだとの考えを示した。EUでは金融機関が資金洗浄に関与した疑惑が相次いで発覚しており、監視体制のあり方を抜本的に見直す必要に迫られている。

クーレ氏はウィーンで開かれたユーロ圏財務相会合後の記者会見で「ECBはマネーロンダリング防止に向けた当局間の協力や連携強化のいかなる取り組みも支持するが、理想的なのは単一の監督機関の設置だ」と発言。そうした役割を担うのはECBではないとつけ加えた。

EUでは過去1年の間に、ラトビアのABLV銀行やデンマークのダンスケ銀行などが関与した資金洗浄疑惑が相次いで発覚。今月4日にはオランダのINGグループが適切な顧客管理を怠った結果、同行の口座が資金洗浄や不正送金に利用されたとして、7億7,500万ユーロの和解金を支払うことでオランダ検察当局と合意している。

こうした事態を受けてEU加盟国の金融監督機関は今月初め、マネーロンダリング対策の現状と課題を分析した内部報告書をまとめた。報告書は域内の金融システムに不正資金が流入するのを阻止できていない最大の要因として、加盟国間および加盟国とEU当局の間で情報共有や協力体制に重大な欠陥や不備があるためと指摘。マネーロンダリング対策が国ごとの対応に委ねられている現状を改善するための具体策として、域内共通の指針や情報共有に関する取り決めの策定を勧告したうえで、長期的な選択肢として監督体制の一元化を提案していた。

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