オランダの金融大手INGグループは4日、マネーロンダリング(資金洗浄)疑惑についての捜査を巡り、7億7,500万ユーロの和解金を支払うことでオランダ検察当局と合意したと発表した。2016年までの6年間に同行の口座を利用して「数億ユーロ規模」の資金洗浄が行われていたとされ、金融機関が支払う和解金としては過去最高額となる。
検察当局は米当局からの照会を受け、16年からINGに対する捜査を進めていた。捜査ではINGが適切な顧客管理を怠った結果、同行の口座が資金洗浄や不正送金に利用された事実が明らかになった。具体的にはロシアの通信会社ベオン(VEON、旧ビンペルコム)がINGの口座から英領ジブラルタルの会社を経由して、ウズベキスタンのカリモフ元大統領の長女に、500万ドルの賄賂を送金したケースや、オランダ領キュラソーに拠点を置く女性用下着メーカーによる1億5,000万ユーロ規模の資金洗浄などが発覚した。
INGが支払う和解金の内訳は、罰金が6億7,500万ユーロ、不当利得の返還金が1億ユーロとなっている。INGのラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)は声明で「金融システムを悪用した犯罪を防ぐため、銀行は最高水準の運営を実現する義務がある。顧客による口座の不正利用を防げなかったことは極めて遺憾であり、全ての責任はINGにある」と表明。これまでに約10人の従業員に停職や減給などの処分を下すと共に、再発防止に向けてマネーロンダリング対策を強化したことを明らかにした。