19年にサマータイム制廃止へ、欧州委員長が正式提案

欧州委員会のユンケル委員長は12日、欧州議会で一般教書演説を行い、EU加盟国が一律に採用してきたサマータイム(夏時間)制度を2019年に廃止する方針を正式に提案した。域内で廃止を求める声が高まっていることを受けた措置。現在の「夏時間」と「冬時間」のどちらを通年で適用する「標準時間」に設定するかの判断は、加盟国に委ねる。欧州議会と閣僚理事会の承認を経て制度改正に踏み切る。

EUでは3月の最終日曜日に時計を1時間進めて夏時間とし、10月の最終日曜日に標準時間に戻すサマータイム制度を採用している。しかし、近年は省エネ効果が乏しいうえ、高齢者や子どもの健康への影響も指摘され、今年初めにフィンランドがEUに廃止を提案するなど、一部の加盟国や欧州議会で廃止論が高まっていた。

提案によると、全ての加盟国は従来通り、来年3月31日(日曜日)に夏時間に切り替えたうえで、冬時間を標準時間として採用する国は10月27日(同)に時間を戻し、夏時間を採用する国はそのまま継続する。どちらを選択した場合もそれ以降の時間調整は認められない。加盟国は来年4月までに夏時間と冬時間のどちらを通年適用するか、欧州委に通知しなければならない。

欧州委が7月上旬から8月中旬にかけて実施した意見公募では、EU市民から過去最多の460万件を超える意見が寄せられ、そのうち84%がサマータイムの廃止を求める内容だった。国別にみると、フィンランドとポーランドで95%が廃止を支持したのをはじめ、全加盟国のうちギリシャとキプロスを除く26カ国で過半数が廃止を支持。その理由としては健康への影響と省エネ効果に加え、交通事故の増加を懸念する意見も多かった。

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