欧州議会環境委が30年までの車排ガス規制案を採択、21年比45%削減へ

欧州議会環境委員会は10日、2030年を達成期限とする自動車の新たな排出ガス規制案を採択した。EU域内で販売される乗用車と小型商用車(バン)の新車について、二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに21年の目標と比べて45%削減することをメーカーに義務付ける内容。25年までに20%の削減を求める中間目標も設定した。欧州委員会は25年までに15%、30年までに30%の削減を義務付けることを提案していたが、環境委ではより厳しい目標を掲げた修正案が採択された。

EUでは08年、15年までに乗用車と小型商用車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり平均130グラム以下とする規制を導入。14年には21年までに同95グラム以下に抑えることを義務付ける規制案が採択され、各メーカーは同目標の達成を目指して電気自動車(EV)など環境対応車への移行に取り組んでいる。

規制値は販売台数や車種構成によってメーカーごとに異なり、新規制では平均95グラムからそれぞれ25年までに20%、30年までに45%の削減が求められる。規制値をクリアできなかった場合、メーカーはEU市場における年間の新車販売台数に応じて、1グラムの超過につき1台当たり95ユーロの罰金を支払わなければならない。さらにEVや燃料電池車(FCV)などCO2をまったく排出しない「ゼロエミッション車」と、プラグインハイブリッド車(PHV)など低排出ガス車の販売シェア目標も設定されており、メーカーは25年までに20%、30年までに40%を達成する必要がある。

欧州自動車工業会(ACEA)のヨナー事務局長は声明で「欧州議会の動向を心配している。環境委が採択した極端に厳しい削減目標はまったく非現実的だ」と強く非難。「環境対応車へのシフトは管理可能なペースで行わなければならない。これは自動車業界とその従事者だけでなく、域内の消費者にとっても重要なことだ」と強調している。

規制案は10月の欧州議会本会議で採決が行われ、可決されると法制化に向けてEU加盟国との交渉がスタートする。しかし、自国に有力メーカーを抱える加盟国は規制強化によって自動車産業の成長や雇用に悪影響が及ぶ事態を懸念しており、難航は必至だ。

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