欧州委員会は19日、米マクドナルドがルクセンブルクから受けた税優遇措置について、約3年に及ぶ調査の結果、両者の取り決めに違法性はなかったと結論づけた。欧州委はこれまでに米アップル、アマゾン・ドット・コム、スターバックス、伊フィアットなどに対する税優遇措置が違法な国家補助にあたると認定し、ルクセンブルクを含むEU加盟国に追徴課税を命じているが、マクドナルドのケースは「適法」と判断した。
欧州委はマクドナルドとルクセンブルクの税務当局が交わしたタックスルーリングと呼ばれる取り決めについて、2015年12月から調査を進めていた。欧州委によると、マクドナルドは欧州とロシア、ウクライナのフランチャイズ店から徴収したブランド使用料やレシピなどに関わるロイヤリティをルクセンブルクの現地法人に集めた後、米国支社に移転していた。ルクセンブルク当局は09年にマクドナルドとの間で法人税を免除するなどの取り決めを交わし、実際には知財関連の収益が米国で課税対象になっていないことを知りながら、利益移転を認めることで自国での課税を免除する優遇措置を提供していた。このため同社は13年に欧州のフランチャイズ店から2億5,000万ユーロ超の利益を得ていたが、ルクセンブルクでは納税額はゼロだった。
欧州委のベステアー委員(競争政策担当)は声明で、「マクドナルドの特定の利益がルクセンブルクと米国で『二重非課税』となったのは、両国の税法上のミスマッチ(不整合)が原因で、ルクセンブルク当局による優遇措置によるものではない。したがって、ルクセンブルクはEUの国家補助規定に違反していない」と説明した。そのうえで、「マクドナルドが税金を納めなかったことは事実であり、公平・公正な税の原則を逸脱している」と指摘。ルクセンブルクが二重非課税の再発防止に向け、EUの租税回避防止指令(ATAD)に沿った法改正の手続きを進めている点を評価した。