伊コーヒー事業大手ラバッツァは1日、米食品大手マースの飲料事業マースドリンクスを買収することで合意したと発表した。取引の詳細は公表していないが、買収額は負債を含めて65億ドル程度とみられる。ラバッツァはマースから自動ドリンクマシンの「クリックス(KLIX)」やオフィスコーヒーの「フラビア」を含む有力ブランドを取得し、再編が加速する世界のコーヒー市場で支配力を強めるスイスのネスレやルクセンブルクのJABホールディングスを追撃する。
1895年創業のラバッツァは2015年以降、買収を軸とする積極経営を進めており、今年7月にはオーストラリアのブルーポッド・コーヒーの買収を発表している。ラバッツァは今回の取引で、マースが米国、カナダ、日本、欧州で展開するコーヒー事業を取得する。両社は競争当局の審査を経て、年内の取引完了を見込んでいる。ラバッツァのアントニオ・バラバッレ最高経営責任者(CEO)は「今回の取引により、当社はさらなる成長機会が見込まれるオフィス向けコーヒーサービス(OCS)と自販機事業を大幅に強化できる」とコメントした。
成長分野のコーヒー市場では業界再編の動きが加速している。米飲料大手コカ・コーラは8月末、英コーヒーチェーン大手コスタを39億ポンドで買収すると発表した。一方、ネスレは5月、米コーヒーチェーン大手スターバックスと世界規模の提携を結び、同社からコーヒー豆や飲料の販売権を取得している。