EUと英の離脱交渉がなお難航、合意期限を12月に先送りへ

2018年10月22日発行 No.220号

EUは17、18日に開いた首脳会議で英国と進めている離脱交渉について協議したが、大きな進展なく終了した。EUは正式合意の場となる臨時首脳会議を11月に開く方針だったが、今回の結果を受けて開催の見送りを決定。「合意なき離脱」が現実味を一層増す中、12月の首脳会議での合意を目指して協議を進める。

英国は2019年3月にEUを離脱することになっている。離脱交渉の結果は欧州議会などの承認を得なければならず、その手続きに時間がかかることから、当初は18年10月が交渉期限とされた。しかし、交渉が難航しているため、EUは9月に交渉期限を11月に先送りすることを決定。今回の首脳会議で実質合意にこぎ着け、11月17、18日に開く臨時首脳会議で正式合意するというスケジュールを描いていた。

離脱交渉で最大の焦点となっているのが、北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理問題。EUと英国は昨年12月、英国がEUを離脱してからも人やモノの流れを制限しないようにするため、厳しい国境管理を避けることで合意したものの、それをどのような形で実現するかは決まっていない。

EU側は英国が離脱した直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため設定される「移行期間」が終了する2020年12月末までに、同問題を含む包括的な通商協定を締結できない場合の“バックストップ(保険)”として、北アイルランドを関税同盟にとどめることを提案している。これに対して英国は、アイルランドと英本土の間に事実上の国境が引かれるとして反発。代わりに、期限付きで英国全体が関税同盟にとどまることを提案。双方の主張に大きな隔たりがある。

今回の首脳会議では、まず英国側の交渉方針をメイ首相が報告したが、EUが求めている新たな提案はなかった。このため、その後に開かれた英国を除く27カ国の協議で、「十分な進展がない」として、11月の臨時首脳会議開催を見送ることを決めた。

これを受けて、双方は12月の首脳会議での決着を目指すが、EUでは大きな混乱を招く無秩序な合意なき離脱の懸念が一層強まっている。オランダのルッテ首相によると、27カ国首脳は欧州委員会に対して、合意なき離脱に至った場合の準備を強化するよう求めた。

一方、移行期間をめぐっては、バルニエ首席交渉官が先ごろ英国側に対して、21カ月間から1年延長し、計33カ月間とすることを提案した。通商協定をめぐる協議の時間を稼ぎ、国境問題も同協定の中で解決できる見通しが立てば、バックストップを発動する可能性が小さくなり、同問題に関する協議で双方が歩み寄る余地が広がるという思惑がある。欧州議会のタヤーニ議長によると、メイ首相は移行期間延長に応じる用意があることを明らかにしたという。

ただ、移行期間中は英国がEU単一市場、関税同盟にとどまる代わりに、EUのルールに従わなければならないため、英国内の「ハード・ブレグジット(強硬離脱)」派が反発するのは必至で、メイ首相は難しい対応を迫られそうだ。

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