欧州議会は25日、2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みを定めたパリ協定に基づく温室効果ガス削減・抑制の国別目標(NDC=Nationally Determined Contributions)について、30年を達成期限とする削減目標の引き上げを求める決議を採択した。欧州議会の決議に拘束力はないが、12月にポーランド南西部のカトヴィツェで開かれる「気候変動に関する国際連合枠組み条約第21回締約国会議(COP21)」を控え、加盟国と欧州委員会に対し、EUとしてより厳格な目標を設定するよう求めている。
15年12月に採択されたパリ協定は、世界全体の気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することを明記している。この目標を達成するため、発展途上国を含む全ての締約国は国情に合わせてNDC(自国が決定する貢献)を策定し、5年ごとに条約事務局に提出・更新することが義務付けられている。EUは15年3月、域内の温室効果ガス排出量を30年に1990年比で40%削減するとの目標を提出した。
EU加盟国は10月上旬に開いた環境相理事会で、20年までにNDCを更新する方針を確認したが、欧州議会は具体的な数値目標の設定を急ぐよう要求。今回の決議で世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるため、30年までの削減目標を現行の90年比40%から「少なくとも55%」に引き上げるよう勧告した。さらに、50年までにEU域内の温室効果ガス排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指すことも決議に盛り込んだ。