欧州委員会は10月30日、独ティッセン・クルップとインドのタタ製鉄が欧州鉄鋼事業を統合する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。自動車用鉄鋼製品などで競争を阻害する恐れがあることから現時点での承認を見送り、詳細な調査を行った上で可否を判断する。
両社は2017年9月、欧州の鉄鋼事業を統合することで基本合意。今年6月に最終合意し、折半出資の合弁会社「ティッセンクルップ・タタ製鉄」をオランダに設立することになった。この新会社はアルセロールミタルに次ぐ欧州2位の鉄鋼メーカーとなる。
欧州委は初期調査の結果、両社は欧州の主要なフラット炭素鋼、電磁鋼の供給事業者で、統合によって自動車用の鉄鋼製品、缶用メッキ鋼、多様な分野で使われる方向性電磁鋼で寡占状態となり、価格上昇を招く恐れがあると判断。本格的な調査を進めることを決めた。
欧州委は19年3月19日までに同調査を終え、統合を認めるかどうかを最終判断する。