VW、フォードと自動運転・EVで提携か

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループが米フォードと幅広い分野で提携するもようだ。自動運転分野での開発の遅れや、開発費の膨張に対処することが狙いで、プラットフォームの共有化も進める方向という。社内情報として経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が報じたもので、VWは16日の監査役会でゴーサインを出す見通し。両社は報道内容へのコメントを控えている。

VWとフォードは6月、戦略協業の趣意書に署名した。複数の共同プロジェクトを実施する計画だが、具体例としては商用車の共同開発を挙げるにとどめていた。

しかし、共同プロジェクトは商用車の共同開発にとどまらず、多岐にわたるもよう。HB紙によると、自動運転技術の共同開発、プラットフォームとエンジンの相互融通にも踏み切る。

VWグループでは自動運転技術の開発を高級車子会社のアウディが担当している。だが、米IT大手アルファベットの子会社ウェイモに比べて開発状況は遅れており、VWの危機感は大きい。ウェイモとの差を埋めるために同分野の開発でフォードと提携する。

具体的には自動運転技術の開発事業をアウディから移動サービス子会社モイアへと移管したうえで、モイアを通してフォードの自動運転開発子会社フォード・オートノマス・ビークルズに50%出資する。また、モイアの本社所在地をベルリンからVW本社に近いハノーバーに移す。

自動運転車、コネクテッドカー、電動車の開発には巨額の投資を要する。このため自動車各社は競合との提携を積極的に活用し、開発費を可能な限り抑制する考えだ。

VWは電動車向け投資資金を確保するためにエンジンの開発費を抑制している。このためフォードからエンジンの供給を受ける方向で協議中。また、米国販売を強化するために、同国で人気の高いピックアップの分野でフォードからプラットフォームの融通を受けることも検討している。

一方、VWは自社開発の電気自動車(EV)専用プラットフォーム「MEB」をフォードに供給する。フォードはこれにより欧州連合(EU)の二酸化炭素(CO2)排出規制強化に対応できるようにする考えだ。

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