EUと米国は14日、ワシントンで閣僚級の通商協議を開き、EUによる米国産の液化天然ガス(LNG)や大豆の輸入拡大などについて議論した。トランプ政権がもくろむ輸入自動車への追加関税についての協議はなかったが、欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は米国が欧州車への追加関税を発動した場合、EUとして対抗措置を講じる用意があると表明した。
欧州委員会のユンケル委員長とトランプ米大統領は7月の首脳会談で、自動車を除く工業製品の関税や非関税障壁の撤廃に向けて交渉を開始することで合意。トランプ氏は米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対抗措置として、EUが報復関税を発動したことを受け、欧州車に20%の関税をかけて再報復する構えをみせていたが、交渉中は自動車の追加関税を発動しない方針で一致した。マルムストローム氏はその後、米国の対応によっては自動車関税の撤廃も視野に交渉を進め、欧州委の任期が満了する2019年10月末までの合意を目指す考えを示していた。
マルムストローム氏によると、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表との協議では米国産の大豆やLNGの輸入拡大のほか、規制面での協力などについて意見を交わした。今回、自動車分野については議論しなかったことを明らかにしたうえで、米側が欧州車への追加関税賦課に踏み切った場合、EUは米製品への報復関税を発動する用意があると発言。「自動車、農産品、工業製品など多岐にわたる品目」が対象リストに含まれるだろうと述べた。そのうえで同氏は「こうした関税は欧州経済だけでなく、米国経済にも悪影響を及ぼす」と指摘し、EUとしてもこうした事態は望んでいないと述べた。
欧州委とUSTRはこれまでの協議を踏まえて今月末までに論点を整理し、両首脳に報告書を提出する方針を示している。