欧州委員会は20日、武田薬品工業がアイルランド製薬大手シャイアーを買収する計画を承認したと発表した。武田は条件として、シャイアーが開発している炎症性腸疾患の新薬を他企業に売却することを求められる。
武田は5月、シャイアーを460億ポンド(約7兆円)で買収することで合意していた。日本企業による海外企業の買収としては、ソフトバンクの英半導体設計大手アーム・ホールディングス買収(約3.7兆円)を抜き、過去最大規模となる。
欧州委の買収の可否をめぐる審査では、シャイアーが開発中のバイオ新薬が、将来的に武田の炎症性腸疾患治療薬「エンタイビオ」と重複し、同領域の医薬品市場での健全な競争が損なわれる可能性は浮上した。
これに対して武田が、シャイアーの新薬に関連する権利を手放すことを提案したことから、これによって競争上の懸念が払しょくされると欧州委は判断。その実行を条件に買収を承認した。
同買収はこれまでに米国、日本、中国、ブラジルで当局の承認を得ていた。武田は2019年1月8日の買収手続き完了を見込んでいる。