欧州委員会は23日、航空やホテルなどの予約・発券システムを提供するスペインのアマデウスと同業の米セーバーが航空会社や旅行会社と結んだ契約について、競争法の観点から本格調査を開始したと発表した。両社の契約に顧客の選択肢を狭め、航空券の予約・発券サービスにおける競争を阻害する条件が含まれていないか慎重に調査する。
アマデウスとセーバーは共にGDS(Global Distribution System)と呼ばれる航空券、ホテル、レンタカーなどの予約・発券システムを運用している。GDSは世界中の航空会社、ホテル、レンタカー会社などの予約システムと接続されており、リアルタイムでの予約を可能にしている。
欧州委の調査では、アマデウスとセーバーが航空会社や旅行会社と結んだ契約に、他社の予約・発券サービスへの乗り換えを制限する内容が含まれていないかどうかが焦点となる。欧州委は仮にそうした条項が契約に盛り込まれている場合、航空券の予約・発券事業への新規参入が極めて困難になり、顧客側の選択肢が狭められてGDSを利用するためのコストが上昇し、最終的に航空運賃に転嫁される可能性があるとみている。
アマデウスは声明で、完全にEUの法令や規制に沿って事業を展開していると主張。セーバーは旅行会社に競争力のあるサービスを提供することが最大の目標だと強調し、欧州委の調査に協力する意向を示している。