ESMの機能強化で合意、共通予算などは先送り=EU財務相理

2018年12月10日発行 No.227号

EU加盟国は4日に開いた財務相理事会で、ユーロ圏の統合深化に向けた機構改革案について協議し、ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)の機能強化で合意した。ただ、大きな焦点となっている共通予算の創設などについては意見がまとまらず、結論を先送りした。

フランスのマクロン大統領が提唱した機構改革は、英国のEU離脱決定、ポピュリズムの台頭などで揺れるEUの結束強化を目指したもので、EU予算とは別にユーロ圏共通の予算を創設することや、債務危機に陥ったユーロ加盟国に緊急融資を行うESMの機能を拡大するといった内容。欧州委員会が2017年12月に改革案を発表し、加盟国が協議を進めていた。

ESMについては、6月に開かれたユーロ圏19カ国の首脳会議で、EU内の銀行の破綻処理に活用される「単一破綻処理基金(SRF)」の資金が不足した場合に、ESMの資金を銀行救済にも活用できるようにすることで合意済みだが、詳細は固まっていなかった。財務相理事会では、2024年までにESMがSRFに融資できるようにすることを決めた。20年に実施する調査で、銀行が破綻するリスクが低いと判断した場合は前倒しで実施する。

このほか、健全な財政運営を続けてきたにもかかわらず、突発的な経済危機など不測の事態で厳しい状況に陥ったユーロ参加国の政府に対して、ESMが融資することを認めることでも合意した。ただし、対象国がEUの財政規律を順守しており、過剰な財政赤字を抱えていないことが条件となる。これらは14日に開かれるEU首脳会議での承認を経て、正式決定となる。

EUではギリシャに端を発した債務危機が深刻化した反省を踏まえ、財政、金融統合を模索する動きが活発化し、これまでに銀行同盟創設構想に基づく銀行監督、銀行破綻処理の一元化が実現した。改革案はこれをさらに拡大するものだ。

最大の焦点となっているのがユーロ圏共通予算創設構想。各国が拠出して運営し、圏内の経済格差是正に向けた開発プロジェクトへの投資、経済危機が起きた場合の活用などを想定している。

共通予算をめぐっては、ドイツがフランスに同調し、支持している。しかし、加盟国の間では共通予算がユーロ参加国間の経済格差是正に使われることについて、財政規律を守る豊かな国が放漫財政の国の尻ぬぐいをさせられるとして難色を示す国が多く、調整が難航。今回の財務相理事会でも決着しなかった。ただ、首脳会議での協議の結果次第で、引き続き同構想の実現に向けた話し合いを進めることで一致した。

今回の協議では、銀行同盟の最終段階となる共通の預金保険保証制度(EDIS)を導入する計画も議題となったが、銀行が抱えるリスクが低下するまで見送るべきと主張するドイツなどが慎重な姿勢を崩さず、19年6月に再協議することで合意するにとどまった。

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