英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は3日、がん治療薬メーカーの米テサロを買収することで合意したと発表した。がん治療薬部門の強化が狙いで、買収額は債務引き受けを含めて51億ドルに上る。2019年1~3月期の手続き完了を予定している。
1株当たりの買い取り価格は75ドル。テサロの過去30日間の平均株価に110%を上乗せした水準となる。
テサロは卵巣がんの治療薬「ゼジュラ」などPARP阻害薬を主力とする企業。PARP阻害薬は、損傷したDNAを修復する酵素のひとつであるPARPが機能するのを妨げることで、がん細胞を死滅させる薬剤で、肺がんや乳がん、前立腺がんなど他のがん治療での効果が期待されている。
GSKはエマ・ウォルムズリー最高経営責任者(CEO)が17年4月に就任してから、製薬事業を再構築する戦略を進めている。その一環としてテサロ買収を決めた。ただ、市場では買収額が高すぎるとの見方が広がり、同日にGSKの株価は前営業日比で8%下落した。