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英メイ首相、不信任回避も苦境続く

英国の与党・保守党は12日、EU離脱案をめぐって批判を浴びているメイ党首の信任投票を行ったが、信任200、不信任117でメイ氏の党首と首相の続投が決まった。これによって首相が交代し、英国とEUとの離脱交渉に空白期間が生じる事態は回避されたが、議会が離脱案を承認する目途は立っておらず、「合意なき離脱」に至る可能性が消え失せていない。

EUと英国は1年半に及ぶ交渉の末、英国の離脱条件を定めた離脱協定案と、離脱後の双方の関係の大枠を定める政治宣言案について11月に合意。EU側と英国議会の批准を経て発効することになった。

英下院では野党のほか、保守党内でも100人程度の議員が合意内容に反発しており、4日から5日間にわたって行われた審議が紛糾。承認に必要な過半数の賛成を取り付けるのは難しい情勢だった。メイ首相は否決されると政権が揺らぎ、退任に追い込まれかねないことから、採決の延期を決定した。

英国は2018年年3月29日にEUを離脱する予定で、1月21日までの議会承認が必要となっている。英政府の報道官は13日、新たな採決は1月中に実施されるとの見通しを示し

た。

反対派が最も槍玉に挙げているのは、北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理問題をめぐる合意。離脱協定には、EUを離脱した直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため、原則的に2020年12月末まで設けられる「移行期間」中に最終的な解決策で合意できない場合に、一時的な「バックストップ(安全策)」として、期限付きで英国が関税同盟にとどまり、関税ゼロなど現在と同様の通商関係を維持することが盛り込まれた。

このバックストップについて、英国の強硬離脱派は、最終的な解決策を見つけるのは極めて難しいため、バックストップ措置が恒久化され、英国が事実上、関税同盟に残留する可能性があり、EUのルールに縛られるとして猛反発している。

このためメイ首相は10日、翌日に実施する予定だった離脱案の可否を問う国会の採決を延期することを決定。これが保守党内の強硬離脱派などから批判を浴び、信任投票が実施された。

メイ首相は投票直前に2022年に行われる予定の総選挙の前に辞任する意向を表明し、反首相派の切り崩しに成功し、なんとか不信任を回避した。党規約により、向こう1年間は再度の信任投票は行われないため、首相はEUとの交渉に引き続き臨むことができる。

メイ首相は13日に開かれたEU首脳会議で、議会から離脱案の承認を取り付けるための協力を要請。首脳会議は「バックストップが発動されるとしても、適用は一時的なものだ」とする声明を出した。

しかし、EU側は離脱案をめぐる再交渉をきっぱりと否定。バックストップは一時的とする声明も、メイ首相が求めていた法的な保証ではなく、英議会の懸念を払しょくできないとの見方が多い。このため、英議会の反対派が批准に応じるのは難しい見通し。メイ首相は八方ふさがりの状況だ。3月29日の離脱日を目前に控え、EUと英国の双方に大きな混乱をもたらす「合意なき離脱」が現実味を帯びてきた。

こうした状況を受けて、EUは今回の首脳会議で、「合意なき離脱」を迫られた場合の準備を本格化することを決定。欧州委員会のユンケル委員長は26日に対応策を公表する意向を表明した。