三菱商事は14日、独リサイクリング大手ELGハニエルから、炭素繊維の再資源化を手がける英子会社ELGカーボン・ファイバー(ECF)の株式25%を取得することで合意したと発表した。取引金額は明らかにしていない。規制当局の承認を得て取得手続きを完了し、ECFの事業に参画する。
炭素繊維は日系メーカーが約7割の製品供給を担う日本を代表する先端素材。鉄の4分の1の重量ながら、強度は10倍を超えることから、高強度で軽量な素材を必要とする航空機、風力発電機などで活用されている。また、車体の軽量化が重要な課題となっている自動車業界でもニーズの拡大が予想されている。
ただ、需要を広範に掘り起こすためには生産コストの低減が必要なことから、三菱商事はECFの事業に参画する。
ECFは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の端材などを再資源化する独自の技術とノウハウを持つ製造販売会社で、二次加工(リサイクル)炭素繊維の本格的な商業生産を世界で初めて実現した。三菱商事はECFのグローバルな事業展開などを支援して競争力ある素材の安定供給を確立。日本の基幹産業である自動車が直面する課題の解決を目指す。自社の事業ネットワークや知見を活用していく。