英のコモディティ取引税優遇は「違法」、欧州委がEU司法裁に提訴

欧州委員会は24日、英国が導入しているコモディティ取引に対する付加価値税(VAT)の免税措置がEUのVAT指令に違反しているとして、同国をEU司法裁判所に提訴すると発表した。同指令は加盟国が軽減税率の適用範囲を拡大する場合、閣僚理事会の承認を得なければならないと規定しているが、英国はくり返し無断で特例措置の対象を拡大したと指摘している。

VAT指令は1991年以前にVATを導入していた一部の加盟国に対し、特定の商品やサービスに「超軽減税率」(軽減税率の下限である5%未満)や「ゼロ税率」を適用する特例措置を認めている。英国は同規定に基づき、ロンドン金属取引所(LME)など特定のコモディティ市場での取引について、1977年からゼロ税率を適用している。

一方、VAT指令第394条は加盟国がゼロ税率の適用範囲を許可なく広げることを禁止している(standstill条項)。しかし欧州委によると、英国は77年からこれまでに少なくとも8回にわたり無断で国内法を修正し、特例措置の適用範囲を大幅に拡大してきた。

欧州委は2018年7月、こうした英国の租税措置は金融市場における公正な競争を阻害する恐れがあり、VAT指令に違反しているとして警告書を送付した。しかし、英側から改善の動きがみられないため、EU司法裁への提訴に踏み切った。

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