ソニーは23日、英国にある家電部門の欧州統括会社をオランダのアムステルダムに移転することを明らかにした。英国がEUとの合意なしに離脱する事態に至り、同社の欧州事業が混乱するのを避けるための措置。日本の家電メーカーでEU離脱絡みで拠点を英から移すのはパナソニックに続き2例目となる。
ソニーの広報担当者がAFP通信などに明らかにしたところによると、昨年12月にアムステルダムに新会社を設立。英ロンドンにある家電部門の欧州統括会社「ソニー・ヨーロッパ」を3月末までに同社に統合する計画だ。
英国は3月29日にEUから離脱することになっているが、EUと合意した離脱案を議会が承認するメドがたっていない。EUで英国以外に拠点がないソニーは、「合意なき離脱」で英国がEUの関税同盟から外れると、英国とEU間の通関などに支障が生じることから、域内のオランダに新会社を設立し、EU内での業務を引き続き円滑に行えるようにすることを決めた。
ソニー・ヨーロッパはソニー製品の欧州での販売、マーケティングを統括する部門。900人の従業員がいる。広報担当によると、あくまで登記地をオランダに変更するだけで、統括業務と人員は英国に残るという。
日本企業では金融関連企業を中心に欧州拠点を英から他の加盟国に移転する動きが相次いでいる。家電ではパナソニックが10月に欧州本社をアムステルダムに移転した。