ユーロ圏の19年予想成長率は1.3%、欧州委が大幅に下方修正

欧州委員会は7日に発表した冬季経済予測で、ユーロ圏の2019年の域内総生産(GDP)実質伸び率を1.3%とし、前回予測(18年11月)の1.9%から0.6ポイント引き下げた。米国の保護主義に起因する貿易摩擦、中国経済の減速などの懸念から、大幅な下方修正となった。20年についても1.7%から1.6%に引き下げた。(表参照)

欧州委は米中の貿易戦争、中国の成長鈍化により、ユーロ圏の主要国の輸出が打撃を受け、成長率が18年の1.9%(予想値)を大きく下回ると予想。英国のEU離脱をめぐる混迷も懸念材料に挙げた。

EU28カ国の予想成長率は19年が1.5%、20年が1.7%。それぞれ0.4ポイント、0.1ポイントの幅で下方修正した。

下方修正の大きな要因となったのは、ユーロ圏最大の経済国であるドイツ。輸出が減るほか、乗用車の新たな排ガス試験導入前の駆け込み需要の反動減が続く新車市場の不振で内需も低迷するとして、19年の予想伸び率を1.8%から1.1%に引き下げた。

このほか主要国の19年予想成長率はイタリアが0.2%、フランスが1.3%。18年10~12月期のGDPが前期比0.2%減となり、景気後退に入ったイタリアは、財政不安への懸念から1ポイント引き下げられ、EU最低の水準に設定された。フランスは反政府運動の激化などで、0.3ポイント下方修正された。

ユーロ圏のインフレ率に関しても、19年が1.4%、20年が1.5%とし、それぞれ0.4ポイント、0.1ポイント引き下げた。

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