ECBの銀行ストレステスト、「サバイバル期間」算定へ

欧州中央銀行(ECB)は6日、EU域内の銀行を対象に実施する新たなストレステスト(健全性審査)では、新たに資金調達できない状態で通常業務を維持できる「サバイバル期間」を算定する方針を明らかにした。英国のEU離脱や米中貿易摩擦の再燃、米国の金利上昇などさまざまな要因によって金融市場に混乱が生じた場合を想定し、各行の流動性リスクに対する耐性を分析して不足の事態に備える。

ECBによると、域内の約100行が新たなストレステストの対象となる。従来の審査では急激な通貨相場の変動や世界経済の悪化などを想定し、銀行の自己資本比率の低下が一定の範囲に収まるかどうかに主眼が置かれていたが、今回はさまざまな段階の「不都合な極度の衝撃」によって流動性が低下し、大規模な資金流出が生じるケースを想定。資本市場から資金調達できない状況に置かれた場合、各行が手元資金と担保を活用して何日間、通常営業を継続できるかを算定する。

具体的なシナリオとしては◇特定の金融機関に対する信用不安から預金の引き出しが殺到する◇市場からの短期的な資金調達が滞る◇信用格付けが3段階引き下げられる――などの事態が連鎖的に発生するケースが想定されている。

ストレステストの結果は今年後半に公表される予定。ECBは分析結果をもとに追加的な流動性要件を導入する可能性があると説明している。

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