「合意なき離脱」なら日欧EPA移行は不可能、英政府が表明

英政府は21日、EU離脱に伴う諸外国との貿易協定や関税同盟の移行作業の進捗状況を公表し、合意なき離脱となった場合、3月末の離脱日までに日本とEUの経済連携協定(EPA)と同様の協定を結ぶことはできないとの見解を明らかにした。2月1日付で発効した日欧EPAによる関税引き下げの恩恵は、わずか2カ月で消滅することになる。

英国が合意のないままEUから離脱した場合、英国はEUの自由貿易圏から外れるため、EUを通じて諸外国と結んでいる既存の協定を結び直す必要がある。ロイター通信によると、英国は現在およそ40件に上る貿易協定の移行作業を進めているが、同じ条件での協定締結で合意できたのは現時点でスイス、チリ、イスラエルなどごく一部にとどまっている。

日本と英国はEU離脱に向けて新たな経済協定を早期に締結することで合意していたが、今回公表された文書では、日本はトルコやアルジェリアなどと並んで「離脱日に(EPAに代わる協定に)移行できない見通し」と明記された。

同文書によると、日英間の貿易規模は年間およそ280億ポンド。自動車、医薬品、機械製品、金融サービスなどが牽引する形で二国間の貿易額は過去5年で40%拡大した。合意なき離脱となった場合、関税や通関手続きが復活し、サプライチェーンが混乱する恐れがある。

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