2019/3/4

EU情報

英がEU離脱延期も選択肢に、3月中旬に可否採決へ

この記事の要約

英国の下院は2月27日、EU離脱協定案が3月12日までに議会で承認されなかった場合に、「合意なき離脱」や3月29日となっている離脱日の「一時的な延期」の可否を議会に問うというメイ首相の方針を賛成多数で承認した。離脱延期を […]

英国の下院は2月27日、EU離脱協定案が3月12日までに議会で承認されなかった場合に、「合意なき離脱」や3月29日となっている離脱日の「一時的な延期」の可否を議会に問うというメイ首相の方針を賛成多数で承認した。離脱延期を否定してきたメイ首相が方針転換し、延期が選択肢のひとつとして正式に提示されたことで、協定案修正をめぐるEUとの協議がまとまらず、議会の承認を取り付けることができない事態に至っても、合意なき離脱がとりあえず回避される見込みとなった。

EUと英国は昨年11月に離脱協定案で合意したが、英国領の北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境問題の扱いに英議会が反発。下院で1月15日に実施された採決で、離脱案は歴史的大差で否決された。このためメイ首相は、国境管理問題に関してEUから譲歩を引き出した上で、議会の承認を取り付けるという方針を打ち出した。しかし、EU側は協定案修正を拒否しており、メイ首相はEUと議会の板ばさみに陥り、突破口を開けない状態にあった。

こうした状況を受けて、メイ首相は26日、EUと合意した協定案が下院で3月12日までに可決できなければ、「合意なき離脱」に踏み切るかどうかを決める採決を翌13日にも下院で行う意向を表明。否決された場合は、離脱を最長で6月末まで延期することをEUに要請する方針を打ち出した。離脱延期の可否は14日に採決する。

下院では超党派議員が27日に首相の方針に沿った動議を提出。これが賛成502、反対20の大差で承認された。

メイ首相が離脱延期容認に転じたのは、与党・保守党内のEU残留派が、合意なき離脱を避けるため離脱を延期すべきと主張し、これを率いる3閣僚が辞任をちらつかせて方針転換を迫ったことが大きい。合意がないまま3月29日に離脱することも辞さないとする離脱強硬派が、離脱が遅れるよりはEUと合意した協定案を不満が残るままでも受け入れる方がマシと判断し、12日までに議会の承認を得ることができるチャンスもあるという思惑も働いたもようだ。

下院では大半が合意なき離脱には反対しており、採決になった場合は否決されるのが確実な情勢。議会は実質的に、離脱協提案を承認するか、離脱日を延期するかを問われる形となる。ただ、仮に離脱が延期されても、離脱協定で焦点となっている国境問題で議会が納得できる譲歩をEUから引き出すのは難しく、合意なき離脱が3カ月ずれ込む結果に終わるだけといった見方も出ている。

離脱日の延期はEU27カ国の同意が必要となる。フランスのマクロン大統領は27日、「英国が必要とするなら、EUは延期に応じるだろう」としながらも、英国側に今後の明確な方針がなければ受け入れることはできないと釘を刺した。

一方、英国内では最大野党・労働党がEU離脱の是非を問う国民投票の再実施に向けて、大きく舵を切った。コービン党首は25日、英国が離脱後もEU関税同盟に恒久的にとどまるという案を同党が提出し、拒否された場合は2度目の国民投票実施を支持すると表明。党として初めて国民投票やり直しへの支持を明確に示した。

これに沿って労働党は27日、下院に同案を提出したが、否決されたため、今後は国民投票の再実施に向けた運動を積極的に展開していくとみられる。