独仏がEU競争法見直しを提案、欧州委の決定に反旗

ドイツとフランスの両政府は19日、EU競争法の見直しを共同提案した。独電機大手シーメンスと仏鉄道車両・設備大手アルストムの鉄道事業統合が欧州委員会に承認されなかったことを問題視したもので、欧州理事会(EU首脳会議)に欧州委の決定を覆す権限を持つことを提唱している。

この提案は、両国政府がまとめた「21世紀に対応した欧州産業政策のマニフェスト」と題する文書に盛り込まれたもの。アルトマイヤー独経済相とルメール仏経済・財務相が発表した。

シーメンスとアルストムは2017年、鉄道事業を統合することで合意。独仏政府は中国国営の中国中車(CRRC)に対抗できる巨大鉄道企業が誕生するとして、計画を支持していた。しかし、欧州委は6日、欧州の鉄道車両、信号システム市場での健全な競争が損なわれると判断し、認可しないと発表。独仏政府が反発し、競争法の見直しを共同提案する意向を表明していた。

欧州でグローバルなチャンピオン企業を育てる必要があると主張する両国は、欧州委が承認を拒んだ合併・買収のうち、特定の案件に関して加盟国が欧州理事会を通じて決定を覆すことができるようにすることを提案。また、合併・買収に関する審査のガイドラインを見直し、域内の競争に何らかの影響を及ぼす大型の合併、買収であっても、グローバルな競争を考慮して柔軟に可否を判断するシステムを導入するよう求めている。

両国は同案を3月に開かれるEU首脳会議に提出する予定だ。

上部へスクロール