ECBと英中銀が通貨スワップ始動、EU離脱に備え英銀にユーロ供給

欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)は5日、通貨スワップ協定を始動させたと発表した。英中銀は協定に基づき、ECBから調達したユーロを国内の金融機関に融通すると発表した。3月末に迫った英国のEU離脱に備え、一時的に市場が混乱した場合でも金融機関の外貨調達が滞らないようにする。

新たに「ユーロ流動性ファシリティ(LiFE)」と呼ぶ枠組みを設け、英中銀は週単位で資金供給オペを実施して国内の金融機関にユーロを融通する。ECBはユーロと引き換えに英中銀からポンドを受け取る。英中銀はすでにドル資金の供給オペを実施しているが、新たにユーロも融通できる体制を整え、EU離脱に向けた準備を強化する。

ECBは声明で「通貨スワップの始動によって流動性の供給に一層の柔軟性がもたらされ、英中銀は金融市場の機能を維持するための予防的措置を講じることができる」と指摘。さらにスワップ協定の一環として、「必要があればユーロ圏の金融機関にポンドを融通する用意がある」と表明した。

イングランド銀行は同日、金融行政委員会(FPC)の声明を発表し、英金融システムは「EUからの合意なき離脱を含む幅広いリスクに対応する備えがある」との見方を示した。EUと英国の間で離脱後もデリバティブ(金融派生商品)取引などの継続性を確保するなど、当局間で調整が進んだと評価する一方、EU側では合意なき離脱となった場合、英金融機関が大陸欧州で業務を継続するための対応が不十分だと指摘した。

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