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英下院がEU離脱延期要請を可決、20日までの協定案承認が条件に

英国の下院は14日、EUに離脱の3カ月延期を要請するという政府動議を賛成413、反対202で可決した。ただ、延期は英議会が20日までにEUと政府が合意した離脱協定案を承認することが前提となる。これまで2度にわたって協定案を大差で否決した議会が支持に転じるか不透明だ。延期にはEU全加盟国による承認も必要で、EUとの取り決めがないまま29日に離脱する「合意なき離脱」の可能性が消え失せていない。

英政府とEUが昨年11月に合意した離脱協定案には、EUを離脱した直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため、2020年12月末までを「移行期間」とし、英国が関税同盟にとどまるなど実質的にEUに残留することになっている。しかし、英議会が協定案を承認していないため、このままでは移行期間が適用されず、29日に「合意なき離脱」に至り、経済や市民生活に大きな混乱が生じる瀬戸際にある。

可決された動議は、20日までに改めて協定案をめぐる採決を行い、承認された場合は関連法案整備のために、EUに離脱日を6月末まで延期するよう要請するという内容だ。6月30日は5月に実施される欧州議会選挙で当選した議員の任期が始まる直前であることから、選挙に参加しない英国が離脱するギリギリのタイミングとなる。

英議会が離脱協定案を拒否しているのは、英国領の北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境問題について、移行期間中に最終的な解決策で合意できない場合に期限付きで英国が関税同盟にとどまる「バックストップ(安全策)」と呼ばれる措置を問題視しているためだ。英国とEUは離脱後も北アイルランドとアイルランドに物理的な国境を設けず、物流やヒトの往来が滞らないようにすることで合意しているが、それをどのような仕組みで実現するかは決まっていない。

バックストップには同問題を解決するために時間を稼ぐ狙いがあるが、英国内の離脱強硬派はバックストップが恒久化され、英国が事実上、関税同盟に残留し、EUのルールに縛られることになるとして反発。下院で1月15日に実施された採決では、離脱案が歴史的大差で否決された。

こうした状況下で、離脱問題をめぐる情勢が11日から大きく動いた。英国のメイ首相と欧州委員会のユンケル委員長は11日、打開策として離脱案の見直しで合意した。EU側がバックストップについて、無期限で適用しないことを法的に保証する内容だ。具体的には、国境問題の最終解決策を含む離脱後の双方の通商関係に関する協議で、EU側が意図的に合意に応じないことで、英国をバックストップに縛り続けるようなことはしないと約束。英国がEU側の対応を不服とした場合はバックストップを打ち切ることができるという文言が盛り込まれた。紛争が生じた場合は仲裁機関で処理することも新たに決まった。

しかし、英議会は新たな合意も不満とし、12日に下院で行われた採決では与党・保守党からも多くの造反者が出て、賛成242、反対391で否決した。これを受けて政府は13日、同国がEUから合意なしで離脱することに反対する動議を提出し、賛成321、反対278の賛成多数で可決された。

ただ、メイ首相の思惑は外れた。首相は国境問題を含む通商協議の難航が予想されるなか、なお合意なき離脱の可能性があることをちらつかせ、EU側から譲歩を引き出すという戦略を描き、とりあえず29日に「合意なき離脱」に至ることだけは回避する方向で議会をまとめたい考えだった。しかし、EU残留派を中心とする下院の超党派議員のグループが、「いかなる場合でも合意なき離脱を避ける」という動議を提出。これが可決され、一度限りでなく4月以降も合意なき離脱はしないことになった。

これに続いて離脱延期の動議が可決され、協議案の是非をめぐる3度目の採決が行われることになったが、EU側は協定案のさらなる見直しには応じないと明言している。採決にかけられる協定案は12日に否決されたものと同じとなる。

それでもメイ首相が改めて採決を強行するのは、議会が土壇場で歩み寄るチャンスがあると踏んだためだ。離脱延期の動議には、協定案が再び否決された場合の対応は明記されていないが、延期が長期化し、欧州議会選に英国が参加せざるを得なくなるとしている。副首相に当たるリディントン内閣府担当相は14日、否決された場合は政府が離脱の方針を大きく変え、EUの関税同盟、単一市場への恒久的な残留を含む「穏健離脱」に舵を切る可能性があることを明らかにした。

メイ首相はこれまで離脱協定案に反対してきた与党・保守党の離脱強硬派や、閣外協力する英領北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)が、こうした“脅し”に屈し、支持に回ると期待している。保守党筋が英フィナンシャル・タイムズに明らかにしたところによると、これまでに同党で75人、DUPで10人程度の下院議員が反対から賛成に回るもようだ。ただ、過去の2度の採決で大差で否決されているだけに、逆転するかどうかは極めて微妙な情勢だ。

一方、仮に離脱協定案が承認され、離脱延期を要請したとしても、英国を除くEU27カ国の承認が必要となる。EUは21、22日に開く首脳会議で延期要請について協議するが、延期には正当な理由が必要としている。EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)は、英国が離脱方針を見直すために時間が必要なら、1年以上にわたる長期の延期に応じる用意があるとして、首脳会議で加盟国の説得にあたる姿勢を示したが、全会一致の承認にこぎ着けるかどうか予断を許さず、「合意なき離脱」の懸念は残る。

また、一連の採決では保守党から大量の造反者が出ており、メイ首相の求心力低下が浮き彫りとなった。14日の採決ではバークレーEU離脱担当相など複数の閣僚が反対票を投じた。3度目の採決も裏目に出てEU離脱の混迷が深まれば、政権がもたないとの見方も浮上している。

国内では現実的な解決策として、EU離脱の可否を問う国民投票の再実施を求める声も広がっている。14日には議員から国民投票再実施を求める動議が提出され、反対多数で否決されたものの、混迷が続いて事態打開の道がなくなれば総選挙、国民投票実施に至る可能性がありそうだ。

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