欧州委員会は3月26日、EU域内で進める第5世代(5G)移動通信システムの整備に関する勧告を発表した。5Gネットワークのセキュリティ確保に向け、EU加盟国が連携して対応する必要性を強調する一方、米国がEUに排除を求めている中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品に関しては、加盟国に採用するかどうかの判断を委ねる方針を示した。
EU加盟国は先の首脳会議で対中戦略の見直しについて協議し、その中で5G通信網の安全保障を確保するため、EUとして共通の対策を取るための具体策を検討するよう欧州委に要請していた。EU内ではファーウェイ製品を使用することへの警戒が高まっているものの、5Gへの参入規制に関しては加盟国の間で温度差がある。このため欧州委は一律に同社製品の排除を求めることはせず、勧告には「加盟国は国家安全保障の観点から、特定の企業を国内市場から排除する権限を持つ」との文言を盛り込んだ。
勧告によると、加盟国は6月末までに5G整備に伴うリスク評価を終え、ファーウェイなどの製品を採用した場合の安全保障上の脅威について、EU全体で情報を共有する。その結果をもとに事業者に求める要件などを検討し、12月末までに安全基準やセキュリティ強化策での合意を目指す。
米国はEUにファーウェイ製品の排除を求めており、今回の勧告に対するトランプ政権の反応が注目される。米政府はEU加盟国がファーウェイ製品を採用した場合、機密情報が中国側に漏えいする恐れがあるなどと主張し、EUに足並みを揃えるよう迫っている。