スウェーデンの大手銀行スウェドバンクは3月28日、ビギット・ボネセン最高経営責任者(CEO)を解任したと発表した。スウェドバンクをめぐっては、デンマークのダンスケ銀行による最大2,000億ユーロの資金洗浄疑惑に関与した疑いが浮上し、地元当局や米金融当局が調査を進めている。同行に対する追求が本格化する中、主要株主からボネセン氏の解任を求める声が高まっていた。
スウェーデン公共放送SVTが27日報じたところによると、スウェドバンクは2016年4月、世界の政治家や富豪らによる租税回避の実態が明るみに出た「パナマ文書」に関連し、米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)から資金洗浄が疑われる取引をすべて報告するよう要請を受けた。スウェドバンクは特に問題となる取引はなかったと報告したが、DFSは報告内容が不十分だったとして同行に対する調査を開始した。
SVTが入手した内部資料によると、実際にはパナマの法律事務所モサック・フォンセカと関係のある100社以上が同行を通じて取引を行っていた。ダンスケ銀行による資金洗浄との関連性が疑われるスウェドバンクでの取引額は、10~16年にかけて最大200億ユーロに上ったとされる。スウェドバンクを利用して資金洗浄が疑われる資金移転を行った顧客には、トランプ米大統領の元選対本部長で、脱税などの罪で服役中のポール・マナフォート被告などが含まれているもようだ。
スウェドバンクは声明で「ここ数日の動きを受けて(ボネセン氏解任の)圧力が高まっていた」と説明。アンデシュ・カールソン最高財務責任者(CFO)が暫定CEOに就任し、事態収拾にあたることを明らかにした。