欧州委員会は5日、ビデオゲーム市場で事業者が「ジオブロッキング(地理的制限)」を設け、域内における公正な競争を阻害した疑いがあるとして、米バルブ・コーポレーションやバンダイナムコを含む6社に対し異議告知書を送付したと発表した。各社には反論の機会が与えられるが、欧州委が最終的に競争法違反と認定した場合、全世界の売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。
欧州委は2017年2月、電子商取引市場で複数の有力事業者が公正な競争を阻害した疑いがあるとして、ビデオゲーム、家電製品、ホテル予約の3分野で欧・米・アジアの計15社に対する調査を開始した。このうちビデオゲームでは、消費者の居住地によって購入できるソフトを制限するなどし、消費者の選択肢を狭めた可能性があるとして、オンラインゲーム配信サービス「スチーム」を運営するバルブ、バンダイナムコ、カプコン、米フォーカス・ホーム、独コッホ・メディア、米ゼニマックスの6社を対象に調査を進めていた。
欧州委はこれまでの調査から、6社はジオブロッキングを設けて消費者が居住する国以外でソフトを購入したり、購入したソフトを使用できないようにしたと指摘。国境をまたいだオンラインサービスを制限するこうした商慣行によってデジタル単一市場の実現を妨げ、EU競争法に違反したとの見方を強めている。
欧州委のベスタエアー委員(競争政策担当)は「真のデジタル単一市場において欧州の消費者はEU域内のどこに居住しているかに関係なく、自分で選んだゲームを購入したり、プレイする権利が保証されるべきだ」と強調した。