英国のメイ首相は1日、ウィリアムソン国防相を更迭した。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対する英政府の対応をめぐり、同氏が国家安全保障会議(NSC)の決定をメディアに漏らしたことが理由。政府は先に現地メディアが第5世代(5G)移動通信ネットワークの構築にあたり、NSCがファーウェイの参入を限定的に容認する方針を決めたと報じたことを受け、情報漏えいの経緯を調査していた。後任にはモーダント国際開発相を充てる。
首相官邸の報道官によると、メイ氏は1日までにウィリアムソン氏に書簡を送り、「国防相としての職務遂行能力について、全幅の信頼を寄せることができなくなった」と指摘。調査の結果、ウィリアムソン氏がNSCでの協議内容をリークしたことを示す「有力な証拠」が得られたとして更迭を通告した。一方、ウィリアムソン氏は首相に宛てた書簡をツイッターで公開し、情報漏えいの事実はないと主張している。
米国は安全保障上の懸念から各国政府にファーウェイの排除を求めており、これまでにオーストラリアなどが5G市場への同社の参入を禁止している。一方、英国ではボーダフォンなど複数の主要携帯電話会社がすでに4Gサービスでファーウェイ製品を採用しており、業界側は5Gで同社を完全に排除すればネットワーク構築の費用がかさみ、通信網の整備も大幅に遅れると警告している。
英有力紙デイリー・テレグラフは先月23日、同日開かれたNSCの会合でファーウェイの扱いについて協議し、5Gインフラの中核部分から同社製品を排除する一方、アンテナなど非中核部分については参入を認める方針を決めたと報道。翌日には現地メディアが一斉に報じ、政府は機密性の高いNSCの情報が漏れた事態を重くみて調査を進めていた。