欧州委員会は4月29日、クレジットカード大手の米マスターカードとビザがEU域外で発行されたクレジットカード、デビットカードを使った域内での買い物にかかる手数料を引き下げることで合意したと発表した。引き下げ幅は平均で40%に達する。
引き下げられるのは、旅行者などが域外で発行されたカードを域内で使用する際に発生する「マルチラテラル・インターチェンジ・フィー(MIF)」と呼ばれる手数料。これは決済代行銀行がカード発行銀行に支払う手数料だが、実際には加盟店が負担している。欧州委は手数料が最終的に小売価格に転嫁されてカード会員以外の消費者にも影響が及んでいるとして問題視し、2015年から17年にかけてマスターカード、ビザにEU競争法違反の異議告知書を送付して是正を求めていた。
これに応じて両社は、同手数料の上限をクレジットカードで購入額の0.3%、デビットカードで同0.2%に引き下げることを決定。さらに、インターネットでの買い物での同手数料の上限をクレジットカードで1.5%、デビットカードで1.15%に引き下げることでも合意した。
新手数料は10月19日から5年間にわたって適用される。両社が引き下げを実施しなかった場合は、全世界の売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる。