ボンバルディアが北アイルランドの工場売却、北米に生産拠点集約

カナダの航空機大手ボンバルディアは2日、英領北アイルランドのベルファストにある機体部品の製造工場を売却すると発表した。事業再編の一環で、モロッコの工場も売却する計画。今後はビジネスジェットとリージョナルジェット部門を統合し、北米に生産拠点を集約する。

ボンバルディアは1989年に世界最古の航空機メーカーとされる英ショート・ブラザーズを買収し、ベルファスト工場を取得した。同工場は従業員3,600人を擁し、現在は欧州航空機大手エアバス向けの翼などを製造している。ボンバルディアは昨年、リストラ策の一環でベルファスト工場の従業員490人を削減したが、北アイルランドに拠点を置く製造業者として引き続き最大の雇用を創出しており、工場売却は英政府にとって大きな痛手となりそうだ。

ボンバルディアは声明で「今回の発表がベルファスト工場で働く多くの従業員に不安を抱かせることは承知しているが、労組とも緊密に連携して善後策を模索している。新たな雇用主の下で新体制がスタートするまでの移行期間についてもその姿勢は変わらない」と強調。最良の条件での売却を目指す方針を表明した。

一方、メイ英首相の報道官はボンバルディアの決定に対して遺憾と懸念を表明。そのうえで、同社は中長期にわたって安定的に受注を確保しており、ベルファスト工場で大規模な人員削減が行われる可能性は低いとの楽観的な見方を示した。

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