音楽配信サービスで世界最大手のスポティファイ(スウェーデン)がアプリ販売における米アップルの商慣行をめぐり、競争を阻害しているとして苦情を申し立てている問題で、欧州委員会が今後数週間以内に調査に乗り出すもようだ。英紙フィナンシャル・タイムズが6日、事情に詳しい3人の関係者の話として報じた。音楽ストリーミング市場ではスポティファイとアップルやアマゾン・ドット・コムなどIT大手との競争が激しさを増しており、欧州委の調査は今後の主導権争いに影響を及ぼす可能性がある。
スポティファイは3月、アップルがアプリ流通での市場支配力を乱用し、「アップストア」で自社の定額制音楽配信サービス「アップルミュージック」と競合するサービスに不利な条件を課したり、多額の手数料を徴収するなどして競争を阻害しているとして、欧州委に苦情を申し立てた。スポティファイが特に問題視しているのは、サブスクリプション型サービスを提供する同社のようなコンテンツプロバイダがアプリ内課金を利用する際、アップルが手数料として売り上げの30%を徴収するシステム。
スポティファイはこうした措置により、アップストア経由で販売する有料プランの値上げを余儀なくされ、競争で不利な立場に置かれたと主張。欧州委を通じ、アップストアで扱うすべてのサービスを公平に扱うことや、ユーザーがアプリ内課金以外の決済システムを自由に選べるようにすることなどをアップルに要求した。
アップルはスポティファイの主張に対し、無料アプリには手数料を課していないうえ、サブスクリプション型サービスに対しても2年目以降は手数料を15%に設定していると反論。「スポティファイは何年間もアップストアを利用して急成長を遂げた後に、何も対価を支払わずに引き続き同サービスの恩恵を享受したいと考えている」と指摘している。