欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2019/5/20

EU情報

英メイ首相、6月に辞任時期表明

この記事の要約

英与党の保守党は16日、メイ首相が6月に辞任時期を明確に示すと発表した。首相はEUと合意した離脱協定案の承認を議会から取り付けることができず、離脱期限延長を迫られ、党内で辞任圧力が強まっていた。即時の辞任は避け、時間を稼 […]

英与党の保守党は16日、メイ首相が6月に辞任時期を明確に示すと発表した。首相はEUと合意した離脱協定案の承認を議会から取り付けることができず、離脱期限延長を迫られ、党内で辞任圧力が強まっていた。即時の辞任は避け、時間を稼ぐ形となるが、議会承認のメドは立っておらず、EU離脱の道筋をつけることなく退任する可能性も出てきた。

メイ首相は保守党の議員委員会「1922年委員会」の幹部と同日に会談し、辞任時期表明で合意した。6月3日の週に実施されるEU離脱の関連法案をめぐる議会の採決(後続記事参照)の結果を待って、辞任時期を明確に示し、新首相を選ぶ次期党首選の日程を発表する。

メイ首相はEU離脱案をめぐって党内から批判を浴びている。保守党が昨年12月に実施した信任投票は乗り切り、続投が決まったものの、離脱協定案が3度にわたって議会で否決され、離脱期限が10月31日まで延長されることが決まったことで、求心力の低下が止まらない。

首相は3月、離脱協定案の3度目の採決の前に、可決されれば辞任すると表明したが、奏功しなかった。離脱関連法案の可決を目指し、再び「捨て身」の戦術に打って出た格好だが、1922年委員会のブレイディ委員長によると、首相は採決の結果に関わらず辞任し、党首選が行われるという。

保守党内ではジョンソン前外相が同日、党首選に出馬すると表明した。ジョンソン氏は強硬離脱を支持してきた人物。首相がEUとの協調を優先する「ソフト・ブレグジット(穏健離脱)」路線を打ち出したことに反発し、2018年7月に外相を辞任していた。