東芝は1日、米国の液化天然ガス(LNG)事業を仏エネルギー大手トタルに売却すると発表した。中国ガス大手に売却する計画が頓挫し、新たな売却先を探していた。米LNG事業は最大1兆円の損失が発生する怖れがあり、経営再建の足かせとなっていた。米当局などの審査を経て、2020年3月末までの売却手続き完了を目指す。
東芝はトタルとの間で、同社のシンガポール子会社に東芝アメリカLNGコーポレーションの発行済み株式を全て譲渡する契約を結んだ。譲渡額は1,500万ドル(約17億円)。東芝はLNGの引取義務を引き受けてもらうための一時金費用として、8億1,500万ドルをトタルに支払う。売却に伴い、20年3月期に930億円の損失を計上する見通し。懸案だった負の遺産を清算し、今後は社会インフラなどの事業に経営資源を集中する。
東芝はLNG事業を中国のENNエコロジカル・ホールディングスに売却することで合意していたが、米中当局の認可が遅れる中、4月に売却契約が破談になり、新たな売却先を探していた。東芝は「リスクを最小化したうえでLNG事業からの撤退が可能になる」として、トタルへの売却が最良の選択肢と判断したと説明している。