EUは13日から14日かけて開いたユーロ圏財務相会合とEU財務相理事会で、ユーロ圏共通予算の構想について協議した。共通予算の創設で合意したものの、財源や予算規模をめぐって意見が分かれ、議論を持ち越した。今月20~21日に開くEU首脳会議での合意を目指す。
ユーロ圏共通予算の創設はマクロン仏大統領が2017年に提唱。ユーロ圏の統合深化に向けた機構改革案の柱として、約2年前から議論が続いている。ユーロ参加国の競争力強化や圏内の経済格差是正を目的に、EU予算の一部として創設する構想だが、財政規律を守る豊かな国が放漫財政の国の尻ぬぐいをさせられるといった批判が根強く、調整が難航している。
ユーロ圏財務相会合ではオランダやフィンランドなどの反対派が譲歩し、EU予算の一部としてユーロ圏共通予算を創設することで合意した。ただ、財源をEU予算の枠内にとどめるか、それとも加盟国の追加拠出によって予算規模を拡大できるようにするかをめぐって意見が対立。財務相理でも溝が埋まらず、首脳会議で協議を継続することとした。
ルメール経済・財務相によると、事前協議では加盟国からの追加拠出によって予算規模を拡大できる仕組みを導入することで大筋合意していたが、両会議ではオランダなどがこれに反対。共通予算の管理方法をめぐっても、ユーロ参加国が共同で管理するか、EU予算と共に欧州委員会が一括管理するかで意見が分かれ、合意できなかった。
欧州委のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は会議後の記者会見で、議論がスタートした時点で各国の立場に大きな隔たりがあったことを考えれば、今回の合意は「現時点で最高の直地点だ」と強調。「一部の加盟国はユーロ圏共通予算の創設自体に反対していたことを忘れてはならない。さらに大きな一歩に向けて協議を続ける」と述べた。