EU財務相理が欧州委を支持、伊の財政規律違反めぐり

EUは14日にルクセンブルクで開いた財務相理事会で、イタリアが財政規律に違反しているとして、過剰赤字是正手続きの発動が必要とする欧州委員会の判断を支持した。イタリア政府が財政健全化を進めなければ、手続きを発動し、初の制裁に踏み切る構えだ。

EUの財政規律は、加盟国に累積債務を国内総生産(GDP)比60%以内に抑えることを義務付けている。上限を超えても即材に過剰赤字是正手続きが発動されるわけではないが、対象国はEUに増税など財政改善策の実施を約束させられる。これに応じなければ手続きが発動され、GDPの0.2%に相当する制裁が科される可能性がある。

イタリアは2018年に6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と「同盟」の連立政権がまとめた19年予算案が、欧州委から“ばらまき”政策と批判され、財政規律違反で初の制裁を発動される瀬戸際まで追い込まれた経緯がある。

欧州委は5日に発表したEU加盟国の財政規律順守状況に関する報告書で、イタリアでは債務削減が進んでおらず、2018年の累積債務が上限を超えるGDP比132.2%と前年の同131.4%から膨らんだことを問題視。さらに、19年に同133.7%、20年には同135.2%まで悪化するとして、過剰赤字是正手続きの発動を検討していることを明らかにしていた。

EU財務相理事会は同報告書の内容を検証し、「過剰赤字是正手続きの発動が当然だ」とする欧州委の判断を支持。イタリア政府に財政健全化に向けた措置を講じるよう求めた。

しかし、イタリア側は減税などによって景気を刺激し、経済を成長させることで債務を圧縮できると主張し、応じる構えを示していない。トリア経済・財務相は理事会後に記者団に対して、歳出が当初の想定を下回るため、債務が減る見通しだ」と述べ、追加の債務削減措置は不要との見解を示した。

これに対して、欧州委のドムブロフスキス副委員長は「いくつかの追加措置を講じることがイタリアのためになる。それを考慮して、次の手続きが決まる」として、イタリアに財政改革を迫っており、EUとイタリアが前年に続いて財政問題をめぐり激しく対立する可能性が出てきた。

上部へスクロール