ティッセンとタタとの欧州事業統合、欧州委が拒否

欧州委員会は11日、独ティッセン・クルップとインドのタタ製鉄が欧州鉄鋼事業を統合する計画を認めないと発表した。統合によって欧州2位の鉄鋼メーカーが誕生し、健全な競争が阻害されると判断した。両社は欧州委の承認が難しいとして、既に統合を断念している。

両社は2017年9月、欧州の鉄鋼事業を統合することで基本合意。18年6月に最終合意し、折半出資の合弁会社「ティッセンクルップ・タタ製鉄」をオランダに設立することになった。この新会社はアルセロールミタルに次ぐ欧州2位の鉄鋼メーカーとなる。

欧州委は初期調査の結果、両社は欧州の主要なフラット炭素鋼、電磁鋼の供給事業者で、統合によって自動車用の鉄鋼製品、缶用メッキ鋼、多様な分野で使われる方向性電磁鋼で寡占状態となり、価格上昇を招く恐れがあると判断。本格的な調査を実施した結果、統合は認められないと結論付けた。

ティッセンとタタは承認に向けて競争上の是正策を提示したが、欧州委がさらなる譲歩を求めたことから、5月に計画を断念すると発表していた。

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