欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は18日、ポルトガルで行った講演で、景気と物価が改善しなければ「追加の刺激策が必要になる」と述べた。前回の定例政策理事会後の発言を踏襲したものだが、より明確な表現で追加の金融緩和を実施する姿勢を強調した。
ユーロ圏では緩やかな景気回復が続いているが、米中貿易摩擦の激化や新興国経済の不調、英国のEU離脱をめぐる混迷などで減速の懸念が強まっている。物価も上がりにくい状況が続いており、インフレ率は2013年からECBが目標とする2%を割り込んでいる。
ドラギ総裁はこうした状況に言及した上で、ECBがあらゆる手段を講じる用意があると発言。政策金利のさらなる引き下げや、昨年末に打ち切った量的金融緩和の再開を選択肢として検討していることを明らかにした。
ECBは主要政策金利を0%としており、同金利を引き下げる余地はない。ドラギ総裁はマイナス0.4%となっている中銀預金金利のマイナス幅拡大を示唆した格好となる。
ドラギ総裁はECBが「数週間」をかけて選択肢を検討するとしており、早ければ7月25日に開かれる次回の定例政策理事会で何らかの発表がある可能性がある。
ドラギ総裁の発言を受けて、同日にユーロ安・ドル高が進み、欧州の株価は上昇した。一方、トランプ米大統領は同日にツイッターで、ECBは「追加刺激策によってユーロ安・ドル高に誘導し、米国との貿易で有利に立とうとしている」と批判したが、ドラギ総裁はECBの金融政策は「為替レートを目標としていない」と一蹴した。