EUとベトナムがFTAと投資保護協定に署名、シンガポールに次ぎASEAN2カ国目

EUとベトナムは6月30日、ハノイで自由貿易協定(FTA)および投資保護協定に署名した。FTAに関しては双方での批准手続きを経て、年内の発効が見込まれる。EUと東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国とのFTAはシンガポールに次いでベトナムが2カ国目。関税や非関税障壁の低減に加え、政府調達や知的財産権の保護など幅広い分野をカバーする協定の発効により、EU側はASEANとの地域間FTAの締結に向けた機運が高まると期待を寄せている。

発表によると、物品貿易では双方にとって最終的に99%の品目で関税が撤廃される。EUからベトナムへの輸出は65%の関税がFTA発効と同時に撤廃され、残りは最長10年かけて段階的にゼロになる。一方、ベトナムからEUへの輸出は71%の関税が即時ゼロとなり、残りは7年目までの撤廃を目指す。EU側からは現行の関税率が最大78%に上る自動車やワイン、ベトナム側からは衣料品や農産品などの輸出拡大が見込まれ、欧州委員会はEUからベトナムへの輸出が29%、ベトナムからEUへの輸出は18%拡大すると試算している。

EUとベトナムは2012年6月にFTA交渉を開始し、15年12月に協定の内容で最終合意した。しかし、先行するEU・シンガポールFTAをめぐり、EU司法裁判所は17年5月、投資家保護に関する一部の規定についてはEUと加盟国が権限を共有しており、協定の完全な発効には全加盟国の議会の承認が必要との判断を示した。このためベトナムとのFTAに関しても手続きの長期化を避けるため、欧州議会の承認だけで発効できるFTAと、EU加盟国およびベルギーなど一部地域の議会による批准が必要な投資保護協定に分離した経緯がある。

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