欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/4

EU産業・貿易

ドイツはEU単一市場の勝ち組=調査会社

この記事の要約

ドイツはデンマークとともに、欧州連合(EU)が創出した単一市場の恩恵を最も強く受けている――。独ベルテルスマン財団の委託を受けて調査会社プログノースが実施した調査で、このような結果が示された。他のEU加盟国との経済関係が […]

ドイツはデンマークとともに、欧州連合(EU)が創出した単一市場の恩恵を最も強く受けている――。独ベルテルスマン財団の委託を受けて調査会社プログノースが実施した調査で、このような結果が示された。他のEU加盟国との経済関係が深い国ほど大きなプラス効果を引き出しているという。

EUは人、モノ、資本、サービスの自由移動を柱とする単一市場を1992年に実現した。ドイツはその効果で92年から2012年にかけて実質国内総生産(GDP)が年370億ユーロ押し上げられた。住民1人当たりに換算すると450ユーロで、トップのデンマーク(同500ユーロ)とともに3位(オーストリア:280ユーロ)以下を大きく引き離している。最下位は英国でわずか10ユーロにとどまった。南欧諸国も押しなべて低い。(グラフ参照)

ベルテルスマン財団によると、単一市場が形成されたことで企業間の価格競争が高まり製品価格が低下。消費者の購買力上昇につながっている。また、競争力が高い企業は生産規模拡大の効果で販売価格を引き下げることができる。こうした効果が大きければ大きいほど、域内市場の成長率が高まる。

調査レポートは、サービスと人の移動分野では域内市場の発展が遅れているとして、改善策を提言した。サービス分野については域内総生産の70%を占めるにもかかわらず、加盟国間のサービス輸出はサービス市場全体の20%にとどまると指摘。サービスの規格化やサービス指令の完全履行が必要だとの認識を示した。人の移動については、EU市民が母国で取得した資格などの迅速承認や国境を越えた求人情報の提供が重要だとしている。