独・ポーランド、北マケドニア・アルバニアと早期に加盟交渉を

EUと西バルカン地域6カ国は5日、ポーランド西部のポズナンで首脳会議を開き、EUの東方拡大について協議した。マクロン仏大統領は英国の離脱や難民危機などで揺れるEUを立て直すため、EUの改革を進めて迅速な意思決定が可能になるまで新規加盟国の受け入れに反対する考えを表明しているが、ドイツやポーランドはこれを強く批判。メルケル独首相は北マケドニア(旧マケドニア)とアルバニアのEU加盟交渉を早期に開始すべきだと訴えた。

メルケル氏は首脳会議後の記者会見で「地図を見れば西バルカン諸国がEU加盟国に囲まれていることが分かる。こうした国々を受け入れることはEU自身の利益にかなう戦略的義務だ」と発言。「EUの機能を改革しなければならないというマクロン氏の意見には賛成だが、EU拡大に向けた加盟交渉を停止すべきだとの考えは支持できない」と述べた。

また、ポーランドのドゥダ大統領は「北マケドニアとアルバニアはEU加盟に向け、困難な改革に取り組んできた。EUはこうした加盟候補国をないがしろにするべきではない」と指摘。「交渉開始の約束を破ればEUの信頼性が疑われる」と述べ、他の加盟国に対し早期の交渉開始を訴えた。

欧州委員会は昨年4月、加盟国候補の旧マケドニアとアルバニアとの交渉開始を勧告し、加盟国は6月に承認した。しかし、フランスとオランダが早期の交渉開始に反対。加盟条件を満たすための改革を続けるという条件が付き、交渉開始の決定が欧州議会選挙終了後の6月まで先送りされた。

欧州委は両国で汚職や組織犯罪対策などが進んだことや、マケドニアが国名を「北マケドニア共和国」に改名し、国名をめぐるギリシャとの対立が解消したことを評価し、5月末に改めて加盟交渉の開始を勧告した。しかし、6月の総務相理事会ではフランスなどが慎重姿勢を崩さず、交渉開始の決定を最長で10月まで先送りすることを決めた。その後、EUの主要人事をめぐり各国首脳の足並みが揃わなかったことなどを受け、マクロン氏はEUの改革が実現するまでさらなる拡大を認めるべきではないとの考えを打ち出した経緯がある。

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