FUJIFILM:富士フイルム、がん免疫治療薬開発でバイエルなどと提携

富士フイルムは1日、患者本人以外の人のiPS細胞(他家iPS細胞)を用いた次世代がん免疫治療薬の開発で独製薬大手バイエルなどと提携すると発表した。品質の安定性が高く、製造コストは低い次世代治療薬の開発を他社の協力で加速させる狙いがある。

富士フイルムの米子会社フジフイルム・セルラー・ダイナミクス(FCDI)はベンチャー企業の支援で高い実績を持つ米ベンチャー資本ヴァーサント・ベンチャー・マネジメントと共同で新会社センチュリー・セラピューティクスを設立し、他家iPS細胞を用いた次世代がん免疫治療薬の開発を開始した。バイエルは同開発に参画する。3社は差し当たり開発費2億5,000万ドルを拠出。うち2億1,500万ドルをバイエルが負担する。

がん免疫療法は生体の持つ免疫機能を高めてがん細胞を排除する治療法で、延命効果や症状の緩和が期待できる。このため、同療法用医薬品の研究開発が活発化している。

特にCAR-T細胞という免疫細胞を用いた治療薬はがんに対する攻撃性が高い。米国ではすでに、患者本人のiPS細胞(自家iPS細胞)を用いた治療薬2製品が承認され、非常に高い効果が確認されている。ただ、自家細胞を用いた治療薬は、患者自身のT細胞(免疫細胞の一種)を採取・培養して作製するため、患者ごとに細胞の品質にバラつきが発生したり、製造コストが非常に高い、といった課題がある。

FCDIが開発を進める他家iPS細胞由来のCAR-T細胞を用いたがん免疫治療薬では、他家iPS細胞を大量培養し、分化・誘導して作製したT細胞を活用するため、均一な品質と製造コストの大幅な低減が期待できる。

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