ABインベブがアジア子会社の上場中止、今年最大のIPOが白紙に

ベルギーに本社を置くビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)は12日、アジア太平洋地域の子会社バドワイザー・ブリューイング・カンパニーAPACの新規株式公開(IPO)を取りやめると発表した。今月19日に香港証券取引所に上場し、最大98億ドル(約1兆600億円)を調達する計画で、実現すれば5月に上場した米配車サービス大手ウーバーテクノロジーズの81億ドルを抜き、今年最大のIPOになる見通しだった。ABインベブは「市況を含むいくつかの要因」から上場中止を決定したと説明している。

バドワイザー・ブリューイングは「バドワイザー」や「ステラ・アルトワ」、「コロナ」など50以上のブランドを展開している。同社は発行済み株式の約17%にあたる16億3,000万株を1株あたり40~47香港ドル(約550~650円)で売り出す計画で、実現すれば時価総額は最大640億米ドルに達する見通しだった。事情に詳しい関係者によると、一部のヘッジファンドなどからは購入申し込みがあったものの、米国の有力機関投資家からは仮条件レンジの下限を下回る希望価格が提示されるなど、全体として投資家の関心が低かった。

ABインベブはバドワイザー・ブリューイングの上場について、中国に中心に急成長するアジア市場で買収を通じた事業拡大につながると期待を寄せていた。また、ABインベブは2016年に英SABミラーを買収した際に約1,000億ドルの負債を抱えており、バドワイザー・ブリューイングの上場による調達資金を負債圧縮に使うとみられていた。

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