アマゾンが出品業者のデータを不正利用か、欧州委が正式調査開始

欧州委員会は17日、米アマゾン・ドット・コムが同社のマーケットプレイス(仮想商店街)で商品を販売する小売業者のデータの取り扱いをめぐり、EU競争法に違反している疑いがあるとして、正式な調査を開始したと発表した。アマゾンやグーグルなど巨大IT企業による外部データ活用のあり方を問題視する動きが世界的に広がる中、EUが今回のケースを違法と認定して制裁を科せば、業界のビジネスモデルに大きな影響を及ぼすと目されている。

アマゾンはマーケットプレイスで、外部の小売業者に販売の場を提供しているだけでなく、自社も商品を出品しており、マーケットプレイス運営業者と小売業者という2重の機能がある。つまり、出品する小売業者とアマゾンは競合関係にあるといえる。

欧州委はアマゾンがマーケットプレイス上で収集した外部の小売業者の商品、取引などのデータを収集し、自社製品の販売が有利になるように利用している疑いで、2018年9月に予備的な調査を開始。その結果、「競争に関わる機密情報」を不正利用している疑いがあるとして、正式調査の開始に踏み切った。

欧州委は今後、アマゾンと外部の小売業者が、アマゾンのデータ活用について結んだ合意の内容や、アマゾンのマーケットプレイスを利用する消費者が作成した「欲しい物リスト」に追加される商品の出品事業者を選ぶ際に、収集したデータがどのような影響を及ぼすかを中心に調査を進める。

アマゾンは同日、欧州委の調査に「全面的に協力していく」とするコメントを出した。最終的に競争法違反と認定されれば、違法行為の中止を求められるほか、全世界の売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。

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