欧州証券市場監督機構(ESMA)は19日、マネー・マーケット・ファンド(MMF)の流動性リスクなどを評価するためのストレステストに関する指針を公表した。MMFの運用会社はESMAが設定したシナリオに基づいてリスク評価を行い、2020年第1四半期に初回ストレステストの結果を各国当局に提出する必要がある。
MMFは国債をはじめとする国内外の公社債、コマーシャルペーパー(CP)、譲渡性預金(CD)など短期金融商品に特化して運用を行うオープン型投資信託。銀行預金に近い金融商品で、銀行や政府の短期資金の調達先にもなっており、欧州では銀行が発行した短期債のおよそ3分の1、政府や企業が発行した短期債の5分の1を保有している。
EUはシャドーバンキングに対する規制強化の一環として、世界経済の混乱などでMMFの解約が広がった場合に備え、昨年7月に当日およびその週に満期を迎える資産の組み入れ比率などを定めたMMF規則を導入した。同規則はMMF運用会社に対し、リスク管理策として少なくとも半期ごとにストレステストを実施し、脆弱性が認められた場合は対応策を当局に報告するよう求めている。
ESMAは新ルールの円滑な適用に向け、ストレステストのシナリオや報告書の要件を盛り込んだ指針を策定した。想定するストレスシナリオには流動性、金利、信用リスク、解約レベルの変化などが含まれている。MMFの運用会社は指針に沿ってストレス事象が生じた場合の影響を詳細に分析し、ESMAが指定するテンプレートを利用して作成した報告書を各国当局に提出する。