英政府が予算を21億ポンド追加、合意なきEU離脱に備え

英政府は7月31日、EUからの合意なき離脱に備えて、21億ポンド(約2,700億円)の追加予算を計上する方針を打ち出した。うち11億ポンドは即座に支出し、医薬品の確保、国境・通関管理の増強などに充てる計画だ。

ジャビド財務相によると、11億ポンドのうち4億3,400万ポンドは、EU離脱後に重要な医薬品、医療用品の流通が滞らないようにするための対策に投じる。備蓄に必要な倉庫の確保、輸送能力の増強などが含まれる。

3億4,400万ポンドは、EU離脱で新たに必要となる国境・通関管理手続きに対応するための係官500人増員や、通関代行業者の支援に充てる。また、合意なき離脱に関する広報活動に1億3,800万ポンド、輸出業者への支援に1億800万ポンドを投じる。

残る10億ポンドは必要に応じて関連機関に割り当てる。すでに政府はEU離脱に備えて42億ポンドの予算を計上済みで、これらを含めた離脱関連の予算は総額63億ポンドに達する。

先ごろ発足したジョンソン政権は、前政権がEUと合意した離脱協定案について、英国領の北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間に物理的な国境を設けずに通関手続きなどを円滑に進めるようにするための解決策が見つからない場合に期限付きで英国がEUの関税同盟にとどまる「バックストップ(安全策)」と呼ばれる措置の撤回を要求。EUが交渉に応じなければ、10月30日に合意がないままEUを離脱すると宣言している。

今回の動きには、合意なき離脱に本気で備えていることを見せつけ、離脱協定案見直しに向けた交渉を拒否しているEU側に揺さぶりをかける狙いもあるとみられる。

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