ジョンソン英首相は8日、科学分野の優れた人材を確保するため、就労ビザの取得条件を緩和し、発給枠の上限を撤廃する方針を発表した。ジョンソン氏はEUからの合意なき離脱も辞さない姿勢を崩しておらず、10月末に離脱した後も高度な知識や技能を持つ人材を確保できる体制を整える狙いがある。
政府が年内の導入を目指す新制度は、現在は年間2,000人に適用が制限されている高度人材枠(Tier1
Exceptional
Talent:科学や技術分野で既に実績があるか、将来有望な人材)の上限を撤廃することが柱。ビザ申請から取得までの手続きの簡素化や、高度人材枠の該当者を推薦できる大学や研究機関の拡大、入国前に就職先を確保する要件の撤廃、さらに高度人材の扶養家族が英国で就労できるようにすることなども検討する。
ジョンソン氏は「英国が今後も科学分野で世界のトップであり続け、EU離脱後もより一層、科学者や研究者の活躍の場が広がって、英国発のイノベーションを世界に発信できることが望ましい。英国が引き続き確実に知識や技術の進歩を主導できるよう、すでに国内にいる人材を支援するだけでなく、移民システムを世界中の有能な人材を引き付ける魅力的なものにする必要がある」と述べた。
一方、英国がEUから離脱すると、科学分野では研究資金の確保も重要な課題となる。実際に合意なき離脱を迎えた場合、国内の大学や研究機関に対するEUからの補助金が削られるため、政府は進行中のプロジェクトを継続できるよう、新たに資金支援を行う方針を示している。